東 雑記帳 - なんと、ロシアの自家製ウオッカは白砂糖で造る!

東 雑記帳 - なんと、ロシアの自家製ウオッカは白砂糖で造る!

何か面白い番組をやっていないものかと、CSのチャンネルをがちゃがちゃ回していたら、ちょうど、かつての人気番組『世界ウルルン滞在記』が始まるのにあたった。
女優の永作博美さんが、ロシアでウオッカ造りを教えてもらうという。一九九六年九月二二日に放送されたものである。永作さんは、他の国を訪問したのを見たことがあり、とても面白かった記憶があったように思った。

永作さんは酒豪で、今回はロシア一のウオッカ消費量を誇るウラジミール州を訪ね、町一番のウオッカ作りの名人というアレキサンドラさんのお宅にホームステイする。ご主人は町いちばんのウオッカ造りの名人ということで、ご主人にウオッカの造り方を教えてもらうのが密かな目的とか。
料理上手の奥さんは、得意な料理やおやつで歓待してくれるが、ご主人はろくに口も聞いてくれない。
実はご主人の振る舞いを見ていてわかったのだが、本来寡黙で、しかも恥ずかしがり屋なのだろう、永作さんに口を聞くのを照れているようだった。

そうしたある日の朝、奥さんが頭痛で起きられなくなって、永作さんが代わりに家事を引き受けることになった。料理が得意な永作さんは、市場へ食材を買いに行き、和食をつくり、いっそう家族に溶け込んでいった。
こうした努力が奏功したのか、ご主人は打ち解け、ウオッカを造ってみせてくれることになった。
ところが、驚いた。ウオッカの材料として、ご主人が大事そうに持ち出したのは、なんと白砂糖だった。
ウオッカは、大麦やライ麦が主な原料の蒸留酒だと思っていた。実際、今の辞書にもそのように説明されている。
それがなぜ、白砂糖なのか、わからない。
ただはっきりわかっていることは、蒸留酒は糖質を含んでいれば、どんな原料からも作られるということである。

かつて、自分が二十代の頃に日本で流通している外国産ウオッカはアルコール度数70度だった。それが何年前だったか、あるとき、コンビニで40度ぐらいのものが売られているのに気づき、驚いたことがあった。改めてインターネットで調べたら、40度のものが多く、それらは皆外国産の輸入物で、原料は表示されていない。
唯一、ポーランド産のライ麦、ジャガイモが原料のポーランド製96度のウオッカが見つかった。

話をロシアの永作さんに戻すと、彼女はホームステイ先のご主人手造りのウオッカをたいそうおいしそうに飲み干したのだった。度数はわからなかった。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。