東 雑記帳 - 一番の裸は顔だよ──アラーキーの至言
「体のどんなパーツより顔がさらされていて、その分だけいろんな時代にメイクされてるってことに、みんな気づいていないんだなぁ。一番の裸は顔だよ。過去も現在も顔に出る」
日刊ゲンダイ連載「天才アラーキー 写真人生 傘寿を語る」に出ていた、天才写真家アラーキーこと荒木経惟さんの至言である。
どこから、こういう至言が飛び出てきたかというと、雑誌『ダヴィンチ』の連載「裸ノ顔」が300回を超えた。アラーキーが気になる男の顔を撮る企画であるが、最初の頃は「裸ノ顔」に出て欲しいと依頼すると、ヌードを撮られると勘違いされ続けたらしい。
アラーキーが撮るというと、誰もがヌードと勘違いするだろう。
このことにからんで、上記の至言につながっていくのである。
テレビを見ていて、つくづくそう思う。
日本の政治家はどれもこれも皆、ろくな顔をしていないが、よほど腹の中は黒いのだろう。
「男は権力闘争に明け暮れると、権力をつかんだ頃には口は醜く曲がってくる」と書いたのは作家の諸井薫さんだった。
今の政治家の顔を思い浮かべると、男だけでなく女性議員にも口元が醜くなってきたのがいる。東京都の女王は権力の座を得るのが目的だけで政治家しているらしいが、権力闘争と奸計に血道を上げてきた顔は悪相に磨きがかかり、無残になってきた。
彼らは大嘘つきの大ダヌキだが、ウソや本心とまるで違うことを言うとき、それは顔に表れる。前首相の菅さんは首相在任時、新型コロナウイルスに関して会見したあるとき、目は鳩の目のようになり、しかも眼球は泳いでいた。都の女王はそれを知ってか知らずか、そういう場合は顔を伏せがちである。
一方、タレントは好感度アップに余念がないが、そりためだろうか、バラエティ番組のひな壇に座っているが、これといった発言せず、大声で笑っているばかりの女性タレントがいる。
思いきり笑顔を浮かべると好感度がアップすると信じている女性タレント、歯茎が全開ですよ。歯は白い歯が美しいと、何をどうするのか真っ白い歯になったが、白い歯が目立ち過ぎ。その上に歯茎が丸見えで、まるで歯医者さんにある模型の歯のように見える。
食レポばかりやっているので、平常時も口がとがって前に出た女性タレント。必死で食べるからだろうが、鼻の下が長くなった女性タレント。仕事を失わないために必死なんだろうと思うが、なんだかなあ。
大御所として、いつも上からエラソーにご託宣を述べていたタレントは男にも女にもいるが、長年エラソーに文句をたれてきた賜物か、二人とも口が少し飛び出し、ひょっとこのような口元になってしまった。
政治家もタレントも、荒木さんが指摘しているとおり、「一番の裸は顔」と気づいていない(人が多い)のだろうと、つくづく思う。
とはいうものの、気づいていない恥知らずだから、政治家やタレントという職業を続けていられるのだろうか、それともそんなことはものともしない厚顔無恥なのだろうかと思ったりもする。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。