東 雑記帳 - 病院に飛んでいく鳥は、九官(急患)鳥それとも命取り(鳥)?
地方のある民間病院の理事長兼院長は、落語が趣味で、趣味が高じて東京の落語家につき、名前までもらっていた。経営は豊かなようで、病院の一角に寄席をつくり、定期的に落語の会をもよおし、プロの落語家を招いて一席語ってもらっていた。入院患者などの娯楽を供していた。
その院長の取材はレストランで行ったが、取材がおおかた終わったとき、院長が突然、謎かけをした。
「病院に鳥が大急ぎで飛んでいく。なんという鳥でしょう」とお題を出し、
こちらの顔をしばし見てから、
「それは九官鳥」と、自分で答えを明かした。なるほど、「九官」と「急患」、語呂合わせをしている。
しかし、なんだかつまらない。面白くないと思っていたら、ついある言葉が頭に噛んで、口にしてしまった。
「いのちとり(命取り)じゃないですか」
それを聞いた院長はきょとんとし、ほぼ反応はなかった。
命取りには、救急で入院したのはよいが、治療がもとで命取りになってしまった。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。