東 雑記帳 - 人間も草食動物も必要量の何倍もの塩分を摂取している!

東 雑記帳 - 人間も草食動物も必要量の何倍もの塩分を摂取している!

日本における減塩のムーブメントは昭和30年代に本格的に始まった。塩分のとり過ぎはよくないという情報が徐々に浸透していき、遅遅としてはいるが食塩の摂取量は少しずつ減ってきている。
しかし、塩分の摂取量については、よくわからないことが多すぎる。

その1つに、体に必要な量の何倍もの塩分を摂取していることがある。日本人は塩分をとり過ぎるといわれるが、欧米も少なくはなかった。
特別に発汗量が多い場合を除くと、人は1日に食塩は3g摂取すれば足りる。(食塩を摂取しなくても生きていける民族もあるようだが、そういう例外は除くと)
それが1日に10gも摂取しているのは、どういうわけか。

ところが、である。
なんと動物の場合も、草食動物は人間同様、生存に必要な量の何倍もの食塩をとっているというではないか。
人と草食動物の共通。
肉食動物がそうではない理由は、捕食する草食動物から塩分を摂取、補給しているからだろうか。

しかし、味覚は案外変わりやすいと言われる。人工透析をしており、塩の摂取を厳しく制限されている人が、運良く腎移植を受けられた。それで喜んで普通の食塩量の食事をとると、苦くてとても食べられない。よくこんなものを食べていたものだと言う。そういう話が1989年刊行の『塩とつきあう健康法 塩 あなたはまだ不安ですか』に載っている。

しかし、日本人の中には、塩を断つと、エネルギーが出ず、へたってしまう人がいる。そういう人でも、塩を1日3g摂取すれば体力が確保できるのか。

それに、人間はともかく、草食動物が必要量の何倍もの塩分をとるとは、どういうことなのか。答えに行き着いていない。

それはともかく、人間も草食動物も必要量の何倍もの食塩を摂取するのはなぜなのか。
理由が解明されたら、
減塩がいくら叫ばれようと遅遅として進まない理由がわかるのではないだろうか。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。