東 雑記帳 - 排便のために朝食をとらないといけない──というドグマ

東 雑記帳 - 排便のために朝食をとらないといけない──というドグマ

便秘治療の専門医は必ず、「排便のために必ず朝食をとらないといけない」と言う。この世界のボス的な教授は、「朝食を食べると大蠕動が起きる」「その大蠕動は1日に2回しか起こらない」と断定する。
しかし、朝起きたら、朝食を食べる前に排便する人はいる。以前は「朝食前に排便する人と朝食後に排便する人の割合」のデータがあったと記憶しているが、今調べてそういう報告は見つからなかった。

何より、起床時に便は直腸のすぐ近くまで下りてきている。目が覚め体を動かすと、腸はすぐ動きだし、便は直腸に下りてきて、グルグルと蠕動が起こり、排便をもよおす。そのことは生理学からもわかりきっていることである。
一方、朝食を食べる前に排便しなかった場合、朝食を食べるとそれが引き金となり、腸が蠕動し、排便を催す。これも、生理学的にわかっていることである。

それなのに、便秘の専門医はなぜ、「毎朝の規則正しい排便のためには朝食を食べないといけない」と言いつのるのだろうか。
現代医学も現代栄養学も健康のために「1日3食」を決まり事にしているが、それはドグマであり、「排便のために朝食必要」説もドグマなのだろう。なんとか国民に朝食をとらさなければならない!?

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。