東 雑記帳 - 日本人は塩を断つと、体がむくむ!?
織田信長の時代に来日したポルトガルのイエズス会宣教師ルイス・フロイスは、布教活動を行った。また、『日本史』を著し、それは貴重な資料となった。その他に『日欧文化比較』もまとめており、これは日欧の違いを箇条書きにした小冊子で、その箇条書きの項目の1つに塩に関するものがある。
われわれの間では、食事の時に塩が無くても大した不都合はない。日本人は塩が欠乏すると脹(むく)んだり、病気になったりする。
そして、訳注に次のように述べられている。
塩を摂らないことが、大きな苦痛であったことは、神仏に祈願する際に、塩気の食物をある期間食べないことを誓う塩断ちの風習があることによっても察せられる。その生理的な影響についても、あるいは塩を余分に摂取する日本人の方が敏感だったのかも知れない。
なるほど、最近の研究では、日本人は食塩に敏感に反応する「食感受性」が白人に比べてはるかに高い民族ということが明らかになっているという。(塩をため込む能力は人種によって違い、その違いは高血圧になりやすいかどうかの違いであるが、それについては別の機会に取り上げたい)
塩は、取り過ぎるとむくむ。
しかし、塩をいっさいとらない場合もむくむのは、どうしてなのか。
塩を断つと、体は脱水する。なぜなら、塩には体の中に水分を保持する働きがある。塩をいっさいとらないと、その働きが無効になる。
脱水すると、血圧は低下するが、それをなんとか防ごうとして、心臓が働いて毛細血管や末梢の静脈の流れを速くしようとする。しかし、血管の収縮がそれについて行けず、血管内の水分が外に漏れ出てしまう。
そのため、手足の末端がむくむということのようである。維
ジョギングやウオーキングをすると手がむくむことがあるという人がいるが、塩が不足しているせいかどうかはともかく、脱水しているのであろう。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。