東 雑記帳 - 男好き、女好き、人好き

東 雑記帳 - 男好き、女好き、人好き

一昔前までは、「男好き」「女好き」という言葉はよく使われていた。とくに男の間で。「人好き」という言葉もあった。
「男好き」は、「男が好む」という意味で、「男好きする顔(の女)」という言い方があり、これは「男が好きになる顔立ちの(女)」という意味であった。同様に、「女好き」は「女が好む」の意で、「女好きする(顔)」は「女が好きになる容貌の男」ということであった。
女好きの顔の男がうらやましかったなぁ。
「人好き」は「人に好かれること」で、「人好きのする顔立ちの者はどういう社会や集団、集まりにおいても得をする。

また、「男好きする顔」「女好きする顔」をつづめたのか、それともこの言葉から派生したのか、「好きそうな顔」という言葉も一時期、若い男の間ではよく使われていた。
ちょっと男好きする顔立ちの女性を見ると、「好きそうな顔やなあ」とか「好きそうな女やなあ」などと、いやらしい笑みを浮かべ、男同士が目を合わせ喜んだものだった。
この言葉の裏には、「男を好む」「色事を好む」などの意味も含まれていたように思う。
親しい男同士が互いに何気なく使っている言葉であるから、どういう意味かを厳密に確認しあうことはないが、だいたい同じような認識の下に使っていると無意識の思っていたのだろう。

このような会話を交わすのはたいていがもてない男同士で、自分もその一人だった。
また、それとは別に、モテ男が女性にもてた体験を「それが好きそうな女でねぇ」などと、締まりのない顔でのろけ、もてない男たちの嫉妬を買うこともあった。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。