東 雑記帳 - 血中のナトリウム値、カリウム値

東 雑記帳 - 血中のナトリウム値、カリウム値

循環器の医師に定期的に診てもらっている。先の診察のとき、
先生が「心臓の働きもいいですし、血液検査の結果も問題ないですね。ナトリウムとカリウムの数値もいいですし」というので、
「ええ、家内は塩の量は気にしないで料理をつくっていますが、といって、味付けが濃いわけでもありません」と答えると、
「(ナトリウムが)体の中でうまく処理できているんですね」

血液検査の基準値は、ナトリウムが136-147mEq/L、カリウムが3.6-5.0mEq/L で、ぼくの数値はナトリウムが132、カリウムが4.2だった。ナトリウムがほんの少し低い。ちなみに、その2か月前の検査ではナトリウム137、カリウム4.2で、そのまた2か月前の検査ではナトリウム139、カリウム4.2だった。毎回、どちらも標準値範囲でも低いほうの数値で安定している。

ナトリウムとカリウムのバランスが大きく崩れると、さまざまな不具合が生じる
現代医学でよく問題にされるのが、ナトリウムの摂取過多。

体内でナトリウムとカリウムは互いに作用し、カリウムはナトリウムを排泄する。だから、ナトリウムを少々多くとっても、カリウムをたくさん摂取していると、カリウムが余分なナトリウムを排泄してくれる。
両者の数値のバランスがとれているということは、その結果なのだろうと、解釈している。

食事療法を指導しているある医師は、一般の基準よりも多くの塩をとるように指導していたが、減塩のムーブメントに抗しきれなくなったのか。摂取量を下げたが、講演などでは、
「野菜をたくさん取っているなら、塩を少々多くとっても、カリウムがナトリウムを排出しているから大丈夫」と話していた。

現代医学は塩の摂取を厳しく制限しており、「ナトリウムを多少多くとってもかまわない。その代わり、カリウムをもっと多めにとりなさい」とはならない。

そのわけは、ものには限度があるということをわきまえない人がいるからではないだろうか。

日本人は歴史的にみても世界に冠たる塩依存民族であり、塩の不足に弱いといわれる。日本の調理の基本中の基本は塩で、そのためナトリウム過多になりやすいと考えられている。
日本人は塩味好きの上、加工食品やスナック菓子にはナトリウムが使われているものが多い。
以上のようなことを考えるとやはり、国は「塩分のとり過ぎはいけない」と叫び続けるしかないのだろうか。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。