東 雑記帳 - 好漢貴闘力、だいじょうぶか!?
大相撲の元関脇貴闘力の動画配信・相撲チャンネルが面白いので、チャンネル登録をして見ている。
何が面白いかというと、中の人間しか知らない情報を明かすからである。
大相撲の世界は、堅気の世界ではなく、常識も一般の世界とは乖離があり、一般常識に照らすと常識外れのことも多い。
相撲協会の内部の者だけが知っている物事もいろいろあるだろうが、外部の者に知られたくないいちばんは八百長であろう。
その動画配信、「ガチンコ力士No.1は誰か」と題した回。
まず、貴闘力が、
「大鵬さんは若いときほんとう本当に強かった。白鵬と違ってね」と切り出した。
補足すると、ここで言う「若いとき」は全盛時を指しているのだろうと思う。
次に貴闘力は、ガチンコの優勝回数について、一位に大鵬を挙げ、「三十二回のうち、二十六、七回はガチンコ」と、きっぱり言い切った。
一緒に出ている相方の元力士が「貴乃花じゃないですか」と聞くと、「二位が貴乃花」と断じた。相方は、「貴乃花が一位じゃないんですか」ともう一度念を押すようにたずねたが、
貴闘力の返事は、「貴乃花は二位」
大鵬と貴乃花では、正規の優勝回数に違いがありすぎる。
大鵬は、力士生活の晩年になって、星を譲ってもらうことがあった。大鵬が最後の三十二回目の優勝を飾った昭和四十六年(一九七一)一月場所。十四日目を終えて、星争いは東横綱玉の海が先頭に立ち、西横綱大鵬は十三勝一敗でそれを追う展開となっていた。そして、千秋楽はこの両者が結びの一番で直接対決する。
勝負は本割で大鵬が勝ち、両者決定戦となった一番も大鵬が制した。
のちに、この二番は八百長で大鵬が星を勝ったものと、週刊ポストが報じたので、世間の知るところとなった。
優勝回数に話を戻すと、公式の幕内優勝回数の順位は下記のとおり。
1位 白鵬……43回
2位 大鵬……32回
3位 千代の富士……31回
4位 朝青龍……25回
5位 北の湖……24回
6位 貴乃花……22回
7 位 輪島……14回
貴闘力はガチンコ優勝回数の一位、二位の名前は挙げたけれど、三位以下には触れなかった。最後まで白鵬の名前も千代の富士の名前も出てくることはなかったし、朝青龍の名前も。
それにしても、貴闘力にとって大鵬はかつて妻の父、つまり義理の父だった人である。その父の八百長を、あっけらかんと語るが、この貴闘力チャンネルを相撲協会の人たちは関心をもって見ているという。
貴闘力は息子三人、つまり大鵬の孫三人が力士として土俵に上がっている。父親のせいで、いじめに遭うことはないのか。
貴闘力は相撲協会の恨みを買っているのではないか
経営している焼き肉店の自転車はしょっちゅうパンクさせられているというではないか。
大丈夫か、好漢貴闘力。
過去に八百長問題を巡って不審な出来事もあった。本気で心配している。
最後に、貴闘力さんへ。文中、「貴闘力」と呼び捨てにして、すみません。しっくりくる敬称が思い浮かばなかったものですから。また、最後のくだり、上からものを言って失礼しました。年上だからしようがないなと、勘弁してやってください。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。