東 雑記帳 - いやだねえ! ナニの先端が冷える「陰頭寒」なんて!
冷え性は女性に多いが、男性にもある。冷え性の漢方治療について、三浦於菟医師(元・東邦大学医学部医療センター大森病院東洋医学科教授)に取材した折り、男性の冷え性の話に及ぶと、三浦医師が、
「そうそう、男の冷え性にはペニスの先端が冷えるというのもあるんですよ」
それを聞いて、「えっ、そんなところが冷えるんですか」と思わず聞き返した。
それは「陰頭寒」という病名で、『金匱要略』という中国の宋代に表された医学書の中に出てきて、治療法も載っているという。
「陰頭寒は、冷え性がペニスに象徴的に現れています。ペニスの先端だけで、他の部分には冷えは感じません。この症状は古くからあるし、私もこれまで数人ですが、治療をしたことがあります」と、三浦医師。
病名は症状そのままの色気がないネーミングであるが、冷え性がペニスに象徴的に表れるとは、含蓄ある表現のように思われたが……。
三浦医師によると、この症状に用いる漢方薬に、「桂枝加竜骨牡蠣湯」があり、この漢方薬を服用するだけで改善することがある。付け加えると、他に、体質に合わせて用いると有効な漢方薬は何種かあるとのことだった。
治療法があるのは何よりだ。
それにつけても、ナニの先端が冷えるなんて、厭だなあ。想像してみたが、うまくイメージできない。「先端が冷える、冷える」と、イメトレのようなことをやってみたら、なんだか背中が寒くなるような気がした。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。