東 雑記帳 - ぽっとん便所に落ちた!?

東 雑記帳 - ぽっとん便所に落ちた!?

小学一年のとき、自宅のくみ取り式の便所、大のほうに落ちた。うっかり片足が落ち、バランスを崩して身体ごと落ちたのだろう。
わーっと大声で泣いたのだろうが、自分一人で這い上がったと思う。叫び声で母親や祖母が飛んできたが、こちらの姿を見て、二人とも「きゃーつ」とかなんとか叫んで逃げてしまった。
ちょうど父が単身赴任先から帰ってきているときで、父が井戸の水でウンコを流してくれた。
運良く、二、三日前に祖父が便をくみ取ったばかりだったので、たすかった。いっぱい溜まっていたら、溺れかけたかもしれないと、今も思うのである。

その二年後だったか、近所の三つ年下の男の子がバス通りに近い草むらにある野壺(野にある肥だめ)にはまって大騒ぎになった。熊蜂の集団に襲われて逃げていて、野壺に落ちたらしかった。そのあたりは丈の長い草ぼうぼうで、普段足を踏み入れる者はいなかった。蜂に頭や顔を刺され、しかも全身ウンコまみれでとなり、その子は火がついてように大声で泣いた。
自分も、その泣き声は聞いたが、近寄っては見なかった。近くの大人や自分より年上の男の子らが助け出したからだった。
野壺には、大小便がたっぷり溜まっていただろう。
泣き面に蜂ではなく、蜂刺されに肥だめ、その男の子はたいへんな経験をしたのだった。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。