東 雑記帳 - 培養したヨーグルトきのこは大腸菌だらけだった
1990年代の始め頃だったか半ばだったか、某健康雑誌がヨーグルトきのこを取り上げたのがきっかけで、このきのこを培養するのが全国的に流行した。きのこの名が付いているが、ケフィアという菌であった。
ヨーグルトきのこを取り上げた雑誌の編集者に勧められ、分けてもらったが、瓶の水の中になにやらモヤモヤしたものが浮いていた。
そのままにしておき、ケフィアが育つのを見守っていたところ、モヤモヤが増えてきたようだった。
ふんふん、ケフィアが増殖してきたのかと思ったが、なんだか怪しさも感じた。
そのころ、取材を通して親しくなっていた某クリニックの院長は、細菌などの検査機関をも経営していた。その医師にケフィアのことを話したら、検査してくれるという。
調べてもらった結果はどうだったかというと、「大腸菌だらけだから飲んだらいけないですよ」
人から人の手に渡るうち、大腸菌が付き、大腸菌が繁殖したのだった。
飲まなくてよかったが、そもそも濁った水の中にモヤモヤが浮いているのを見ると、とても飲む気になれなかった。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。