東 雑記帳 - 顔面神経麻痺はある日突然やってきた!

東 雑記帳 - 顔面神経麻痺はある日突然やってきた!

顔面神経麻痺になったのは、今から22~23年前だっただろうか。
夜、沿線のターミナル駅まで某出版社の編集者が打ち合わせに来た。喫茶店で打ち合わせをしたが、梅雨開けの7月で店内は冷房が効いていた。
そこに1時間ほどいただろうか。打ち合わせが終わり、軽く飲みに行くことになった。席から立ち上がろうとしたとき、顔の右に何か違和感を生じた。微笑もうとしたかもしれないが、顔の動きがぎこちないのである。なんだか、おかしい。

飲み屋に入ってからは、生ビールで乾杯し、飲んで食べたが、顔の右半分の違和感はますます増していった。
それでも2時間近く飲み食いして店を後にし、駅に着いて改札口で編集者を見送った。
顔の右半分は完全におかしくなっていた。
電車がある時間だが、顔のせいで、タクシーで帰宅した。
そして、「ただいま」と言って今に入ると、家の者が驚いた顔をして、わっと大きな声を出した。
「その顔、いったいどうしたのよ!?」
あわてて鏡を見ると、顔が右半分、され下がっていた。

顔の右半分麻痺ということから、とっさに脳梗塞を疑ったが、右半身に顔以外に異変が起きているわけでもない。
いったいどうしたのだろう気になったが、それでも生来のおめでたい性格ゆえか、朝まで眠れた。
翌朝、知り合いの内科クリニック院長に電話して、かくかくしかじかと説明したところ、
「鏡に向かって、ひたいにシワを寄せてごらん。麻痺がある側のシワが下がっているなら、ベル麻痺という顔面神経麻痺ですよ」と教えてくれた。
電話で話しながら、ひたいにシワを寄せたら、そのとおりで右が下がっている。
その日、都内にあるそのクリニックで診察を受け、正式にベル麻痺と診断された。

顔面神経麻痺は、突如としてやってきたが、実は前兆はその3日前にあった。それについては次回に。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。