東 雑記帳 - 昭和30年代の運動会。父兄が酒を飲み、つかみ合いのケンカ
昭和30年代半ばの運動会。小学校も中学校も、親や家族は弁当持参で見学に来て、昼休みは弁当を広げ、親子でいっしょに食べたものだった。それが普通だった。
あれは小学校の高学年のときだったか、それとも中学1年のときだったか。うちの両親とともに、同じ故郷の父方の遠縁のおじさん、おばさんも見物に来ていた。2人はうちの両親より一回り年上だったと思う。
みんなで食べるとき、おじさんは酒を飲んでいた。うちの父も普段酒を飲んでいたが、そのときは飲んでいたか記憶は定かではない。
うちの家族が陣取っていた横の家族もまた、父親か誰か男が酒を飲んでいた。
みんなでなごやかに弁当を楽しんでいたはずだったが、なんの拍子か、遠縁のおじさんと隣の男が言い争いを始めたら、つかみ合いに発展した。
すぐにうちの父親か誰かが止めに入ったのだろう、殴り合うまでにはならなかった。
今もあるが。花見で酒を飲んではしゃぎ、その果てのケンカと同じようなものだったのだろう。
しかし、子供の運動会で見物の親が酒を飲み、挙げ句にケンカをするとは現代では考えられない。佳き時代だったのだろうか、それとも……。
文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。