東 雑記帳 － 袋にシッコをためて一気に放出！　絶対に二度としたくない

18歳の頃、すでに女遊びを派手にしている友達が教えてくれた。
「ええか、いざというとき、あれがなかったら、“袋しょんべん”をするんや」
初めて聞いた言葉で、なんて汚い言葉なんだろうと思った。（こんな言葉はタイトルに使えない。）
「あれ」とは、もちろん、コンドームのことである。

その友達は仕事柄お客さんと接することが多く、その中には一定の割合で若い女性がいる。そういう女性と次々に遊びで付き合う一方、スタンドバーやキャバレーなどの水商売の女性にも手を出すし、売春を職業としている女性ともお金を払って遊ぶ。
発展家であって、そちら方面にかけて耳学問の知識が豊富だった。

袋しょんべんは、事後にできる性病予防法であった。事を終えたあとにすぐトイレに行って排尿するが、そのシッコの仕方について、友達がレクチャーする。
「ええか、皮をギューッと引っ張って亀頭を覆い、両手で口をしばった状態にして、小便をいっきにするんや。そして、一杯になったら、一気に小便を放出する。これでええんや」

袋しょんべんの仕方はしっかり学習したが、実践の機会はなかなか訪れなかった。およそ1年後、その知識が役立つときがきた。
事を終えてトイレに行き、袋にシッコをいっぱいためたが、なんと気持ちが悪いのだろう。
居ても立ってもいられないような、心地の悪さ。その気持ち悪さ、心地悪さを堪能する余裕はなく、一気に放出した。ああ、せいせいした。

年をとってからわかったが、袋ションベンは性病予防に理が叶っている。新型コロナウイルスが流行し始めたとき、「流水で手をよく洗うと（手に付いた）ウイルスが流せる」と専門家がしきりに勧めが、あれと同じであった。
それはともかく、あれから何十年もたったが、袋しょんべんは二度としていない。あんな気持ちが悪いこと、二度とできるわけがない。あの経験を思い出すだけで心地悪さがよみがえってくる。

文：東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。