新刊ニュース ~ 【歩くだけでウイルスに勝てる! 長尾クリニック院長・長尾和宏著 山と渓谷社】長年健康系ライターとして活動してきた東/茂由が注目の新刊を紹介
新刊ニュース
歩くだけでウイルスに勝てる!
長尾クリニック院長・長尾和宏著
山と渓谷社
歩くシリーズ5冊目の新作
著者の長尾和宏・長尾クリニック院長はこれまで、ベストセラーとなった『病気の9割は歩くだけで治る!』をはじめ、4冊の「歩く本」を出版しており、本書の帯に「歩くシリーズ最新作 累計16万部」と謳われている。
本著を刊行した理由として、「はじめに」で次のように述べている。
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「歩行習慣のメリットはさまざまなエビデンス(根拠)からも認められているのに、今回の新型コロナ騒動で、ウォーキングの有用性を取り上げたメディアはほとんどありません」
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予防のキーワードは抵抗力と免疫力、そのために必要な方法が歩くこと
新型コロナウイルスの予防の方法は大きくは2つに分けられる。1つはウイルスを体内に取り込まないようにすることで、ウイルスとの接触を遮断したり、殺菌・除菌したりする。する。もう1つは免疫力を高く保つことで、免疫力が高ければウイルスに感作しても感染が防げる。
前者の代表的なものが、マスクや手洗いで、これに関する情報はあふれている。
しかし、後者となると、情報は少ない。本書の前書きに次のようにある。
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ウイルスで死なないためのキーワードは、抵抗力と免疫力を上げること。そのために必要な方法が「歩く」ことだと思います。
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医師は風邪やインフルエンザの患者に接しているのに、自分はかからない。その理由は、「自然免疫がついていることと、免疫力をつける生活を実践しているからだろう」と述べ、次のように続けている。
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「風邪の患者さんを多く診ている医療機関の医師やスタッフたちは皆、歩行習慣を取り入れることでウイルス感染を未然に防いでいます」
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適度な運動が感染リスクを軽減。激しい運動は逆効果
本書は第1章から4章までの構成になっている。
第1章 まずはウイルスの正体を知る
第2章 ウイルス対策は予防につきる
第3章 歩行習慣でウイルスを寄せつけない
第4章 新型コロナウイルスに感染したらどうする
3章では、ウイルスが紫外線で不活性化することから、歩行習慣をつくる方法や高齢者におすすめの歩き方などから、歩行以外の免疫力を上げる方法も紹介している。
歩く習慣がある人では、ない人よりも、本当に抵抗力・免疫力が高いのだろうか。
その疑問に対しては、「強度の弱い運動が免疫細胞を安定させる」ことや、「適度な運動で感染リスクが軽減する」ことを示す、研究報告の図表を提示している。後者は、運動強度、頻度と上気道感染の発症頻度の関係を明らかにしたもので、ランニングなどの激しい運動は逆効果になり、運動不足よりも感染のリスクは高くなることが示されている。
歩くことは、誰もが年代に関係なく、安全に行え、しかも健康の維持・増進や病気予防に
効果的な方法である。
新型コロナ騒動をきっかけに、歩く健康法を身につけるとよいし、そのための参考書として本書を役立てるとよいだろう。
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歩くだけでウイルスに勝てる!
長尾クリニック院長・長尾和宏著
山と渓谷社
2020年4月25日 第1刷発行
980円(税別)
単行本(ソフトカバー): 160ページ
シリーズ名:歩くシリーズ
ISBN:978-4635490504
著者:長尾 和宏
1958年香川県生まれ。1984年東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。1995年長尾クリニック開業。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医、日本内科学会認定医、日本在宅医学会専門医。労働衛生コンサルタント。日本ホスピス・在宅ケア研究会理事、日本慢性期医療協会理事、日本尊厳死協会副理事長、全国在宅療養支援診療所連絡会世話人、エンドオブライフ・ケア協会理事。関西国際大学客員教授
構成
第1章 まずはウイルスの正体を知る
第2章 ウイルス対策は予防につきる
第3章 歩行習慣でウイルスを寄せつけない
第4章 新型コロナウイルスに感染したらどうする
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紹介文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。