新刊ニュース ～ 【緊急出版 新型コロナワクチン 打つ前に知っておきたいこと 監修・宮坂昌之 著者・宝島特別取材班 宝島社】長年健康系ライターとして活動してきた東/茂由が注目の新刊を紹介
新刊ニュース
緊急出版 新型コロナワクチン 打つ前に知っておきたいこと
監修・宮坂昌之 著者・宝島特別取材班
宝島社
新型コロナワクチンの疑問にQ＆Aで回答
65歳以上の高齢者への新型コロナウイルスのワクチン接種がようやく始まったが、本書はタイトルに「緊急」とあるとおり急遽出版された。
ワクチンはパンデミック終息のために当然必要なものとして、国は接種を推奨し、国として行っている。しかし、強制ではない。個人として、打ったほうがよいのか、打つべきなのか、判断に迷っている人も少なくだろう。特に今回は従来のものとは異なるRNAワクチンやDNAワクチンが用いられており、それはどういう内容のものか理解が難しく、なお判断に困る。
本書は、こういった疑問や質問に関し、宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究所センター招へい教授がQ＆Aで答えている。
以下のような章で構成されている。
「ワクチンの基本」「期待できる効果」「接種する際の注意点」「安全性とリスク」「接種の手続き」「ここまでわかった新型コロナ」
具体的には、下記のような質問が設定されている。
・政府はなぜワクチン接種を推奨するの？
・「有効率95％」って100人中95人に効果があるってこと？
・ワクチンを接種すればマスク、消毒なしの生活をしてもいいの？
・国産のワクチンは開発されていないの？
・感染した人は接種しても意味がない？
・妊婦や不妊治療中の人も打っていいの？
・副反応にはどんなものがあり、リスクはどれくらいあるの？
・ワクチン接種で新型コロナに感染したりしないの？
・「高齢者」「基礎疾患がある人」への接種は本当に安全なの？
・アレルギーのある人は副反応が出やすいの？
・ワクチンを打ったあとに感染するとかえって悪化したりしないの？
・将来、子どもを持ちたいけどmRNAワクチンは遺伝子に影響を与えないの？
・そもそもなぜ「新型」といわれるの？
・「インフルエンザより怖くない」は本当なの？
・日本人の感染率が低いのはなぜ？
・重症化する人、しない人は何が違うの？
・ワクチンで「コロナゼロ」は実現するの？
以上のように、一般の人が知りたい疑問が網羅され、それに対する回答が用意されている。
本書は、新型コロナウイルスワクチンに関する、基本的なテキストとして捉えるとよいのではないだろうか。ワクチン推進ではないが、ワクチン否定でもない。書かれている内容を自分なりによく吟味することが重要だろう。
打つか打たないか。医師・学者へのアンケート
興味深いのは、本文の前に、医師・学者12人に対し、打つか打たないか、アンケートを行った結果である。
質問内容は以下のとおり。
Ｑ1 ワクチン接種が可能になった場合、接種をしたいと思いますか？
・接種したい ・様子を見てから判断したい ・接種しない
Ｑ2 その理由を教えてください。
Ｑ3 日本政府の新型コロナウイルスに対する対策、新型コロナワクチン対策について思うこと、感じることを教えてください。
回答者12人の半数はテレビによく出る医師で、この人たちは「接種したい」と答えている。一方、生物学者の池田清彦さんと医師で作家の海堂 尊さんは、「様子を見てから判断したい」。ワクチンに反対を表明している近藤 誠医師や、「日本ではすでに集団免疫が確立されている」との独自の見解を主張している井上正康・大阪市立大学名誉教授は、「接種しない」。
池田さんは、他の媒体でワクチンの有効性を認めているが、「様子を見てから判断したい」理由を、「外出することがめったにないので」と説明している。
海堂さんは、その理由を「もともとワクチンとは、やや勝率のいいギャンブルのようなものだと考えています。全く効果がないということもないかわり、絶対に効果があるともいえません。ですのでここは『見』で」と答えている。
また、3の質問に対しては、海堂さんは下記のように答えている。
「『ワクチン担当大臣』任命など、幼稚園のゴッコ遊びのようで失笑を禁じ得ません。また政府からの情報提供が不安定、不確実で、医学的な信用に欠けるのが残念です」
こういった余裕のある考え方、対応策があることも、一般の人にとって参考になるだろう。
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緊急出版 新型コロナワクチン 打つ前に知っておきたいこと
監修・宮坂昌之 著者・宝島特別取材班
宝島社
2021年4月29日 第1刷発行
740円（税込）
単行本：96ページ
ISBN：978-4299016300
監修：宮坂昌之
大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。1947年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所等を経て、大阪大学医学部教授、同大学大学院医学系研究科教授等を歴任。2007～08年日本免疫学会会長。医学博士・PhD
はじめに
医師・学者12人に緊急アンケート 新型コロナワクチン「打つ？打たない？」私たちの選択
第1章 ワクチンの基本
第2章 期待できる効果
第3章 接種する際の注意点
第4章 安全性とリスク
第5章 接種の手続き
第6章 ここまでわかった新型コロナ
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紹介文：東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。
